現場一期一会(コンビニにはためくインドネシア語ののぼり)

コンビニにはためくインドネシア語ののぼり

生鮮カツオの水揚げ26年連続日本一の宮城・気仙沼漁港前にコンビニエンスストアがあります。店頭ののぼりにはインドネシア語で「食材」。店内にはインスタント麺、調味料、菓子、飲料が並びます。

周囲には小さなホテルや水産加工会社がありますが、空き地も目立ちます。東日本大震災の津波被災地なので住宅はありません。かつてあった漁船員向けの飲み屋もなくなりました。

そんな今の港まちを支えるのはインドネシア人です。水産加工会社では同国からの技能実習生が活躍しています。遠洋マグロ漁船の船員もそうです。

水産都市・気仙沼市もほかの地方都市と同じく人口減が進みます。年間の出生数は200人を切っています。地域別や世代別で市がまとめて毎月公表している一覧表でも、減少を示す「△」がつかないのは、技能実習生を含む「外国人」ぐらいです。

市が小中学校の再編計画を検討するため、将来の児童・生徒数を予測しました。小学生は6年後に3割減、中学生は12年後に半減です。驚く数字です。

子供が減ると、学校行事や部活動などに影響がでます。かつて駐在した岩手県釡石市では、野球部など集団スポーツが単独校でできず、少人数でできる卓球部などに流れている中学校もありました。

学校の統廃合となれば影響は防災にも及びます。津波の避難先の校舎や、避難所となる体育館が地域からなくなるかもしれません。

12月は国の来年度予算案が決まる時期。少子高齢化対策は待ったなしです。

朝日新聞気仙沼支局長 山浦 正敬