ジュニアスポーツの迷走
目的と方法が見合っていない、そんな印象がぬぐえません。全国中学校体育大会が、3年後から大幅に規模を縮小することになりました。
大会は1979年に始まり、現在は夏冬計20の競技会が開かれています。主催の日本中学校体育連盟は、このうち、学校で部の設置率が2割を切った水泳や体操、相撲、スキー、スケートなどをとりやめます。出場枠を減らし、日程を最長3日間にして運営の負担も3割減じるそうです。
大会に携わる教員の負担軽減や温暖化による酷暑対策など、部活動を取り巻く環境の変化へ、改革の必要性に異論はありません。でも、そこに「設置率2割」が縮減の物差しとなる理由はわかりません。
2年前には学校外のクラブチームの参加を認めたばかりでした。にもかかわらず、登録数が少ない競技を一方的に切り捨てるようなやり方が共感を呼ぶとは思えません。教員の負担軽減効果にも疑問は残ります。
ちぐはぐといえば小学生の全国大会も似ています。2年前に柔道が個人戦の全国大会を中止しました。指導者の行き過ぎた勝利至上主義の弊害が理由でした。
そこから日本スポーツ協会はスポーツ少年団の全国大会中止を検討。しかし、少年団へのアンケートなどをもとに今年3月、大会の継続を決めました。
小中とも、その場しのぎの対応にしかみえません。心身とも大きな変化をとげるこの世代に対して、全国大会の功罪をどう分析したのか。どんな指導や育成を目指すべきなのか。議論の不在は深刻です。
朝日新聞論説委員 西山良太郎