「生涯現役」の志
ゴルフの尾崎将司さんが4月、国内の殿堂入りを果たしました。ふと浮かんだのは、しのぎを削った青木功さんや中嶋常幸さんが入っているのに、なぜ昨年末に亡くなった尾崎さんは生前に選ばれていないのか、という疑問でした。
ツアー通算94勝をあげ、賞金王は12回。ゴルフの強さに加え、派手なウェアでグリーンを闊かっ歩ぽ する姿が観衆を魅了し、ゴルフを見るスポーツに変えた立役者でした。
こうした業績で2010年には世界殿堂に選ばれています。なぜ日本で入っていないのか、謎はさらに深まりますが、当時のコメントにヒントがありました。
「どう受け止めていいのか、とまどいと感謝が入り交じった気持ち」「そろそろ引退せよ、といわれているような気がして」
さらに調べると3年後、実は国内の殿堂から打診があり、これを固辞していました。理由はまさに「生涯現役」でした。
直接取材して印象的だった言葉があります。「パットの感覚は子どものうちに習った方がいい」
場所は米・オーガスタでのマスターズ大会。国内では圧倒的な尾崎さんが、海外の4大大会では勝利が遠く、とくに難しいマスターズのグリーンに悩んでの言葉でした。
高校野球の選抜大会優勝投手として当時の西鉄に入団したものの、3年間で見切りをつけて進路を変えたのがゴルフでした。「もう少し早ければ」の思いが技術を究め、道具の開発や後輩の育成といった、ゴルフの探求に心血を注ぐ原動力だったのかもしれません。
朝日新聞論説委員 西山良太郎
