存在感増すSNSを前に若者に願う
2022年の最大のニュースはロシアによるウクライナ侵攻でしょう。そこではSNSが存在感を一層高めています。
勃発から2日後の東京・渋谷のハチ公前でした。駅を出ると、大勢の人が集結していました。ウクライナ国旗を持ち、メッセージボードを手にした人もいます。国籍を超えたロシアへの抗議集会でした。
新聞やテレビの記者も取材していましたが、スマホでSNSを開くと、多数の「中継」がすでに投稿されていました。私も本社に連絡したうえ、写真と短文をアップしました。
長期化する侵攻で、ウクライナ側の被害や主張を伝える手段もSNSです。大統領が訴える映像に、記者との質疑応答はありません。それでも世界の報道に引用されて広がります。
一方、ロシア側はSNSやメディアを規制しました。公式発表で自国の主張が繰り返されます。双方の主張はかみあいません。どちらの情報が正しいのか。もちろん報道機関も見極めたいと、記者を現場に送り込みます。ロシア大統領に対して、厳しい質問をした同国記者もいます。
米国のトランプ氏も大統領時代にSNSをフル活用しました。新聞やテレビを「フェイクニュースだ」と批判し、SNSで主張し続けました。同氏は大統領への返り咲きを狙います。
あふれる情報にどう向き合うか。新聞業界は「各紙の読み比べ」を学校などに勧めています。SNSも含めて、次世代を担う若者には、多面的な情報に触れて真偽を読み取る力を養ってもらいたいと願います。
朝日新聞さいたま総局長 山浦 正敬