寝ても覚めてもすぽーっ!(歴代最年少強化本部長が導く未来)

歴代最年少強化本部長が導く未来

スポーツ競技団体として一歩前進と言えそうです。

日本体操協会が公募制によって、体操女子の新しい強化本部長に、東京五輪種目別ゆか銅メダルの村上茉愛(まい)さんを選びました。28歳で、このポストでは歴代最年少だそうです。

選手としての実績は申し分ありません。得意のゆかでは、2017年の世界選手権で日本女子として63年ぶりとなる金メダルを獲得。東京五輪の銅メダルは、個人種目では日本女子として初めてのメダルでした。身をもって「世界」を知る存在でしょう。

もちろん、指導者には選手とは別の素養が求められます。村上さんは21年限りで指導者へ転身。母校の日体大やジュニアのコーチを務め、当初から日本代表に関わる希望を口にしていました。指導歴が3年での抜擢(ばってき)はリスクも感じますが、少ない経験だからこそ、過去のやり方にとらわれない柔軟な手法への期待もあるでしょう。

若い指導者の抜擢と同時に、見逃せないのは公募制です。スポーツ界ではこうしたポジションの選出には長く、出身校や所属チームでの先輩、後輩といった人間関係がつきものでした。

二つの変化は過去のしがらみを取り払う好機です。強化現場のトップとそれを支える体制の間で、権限と責任を整理し、分担をどう組み立てるのか。他の競技で外国人指導者の導入による成功例をみれば、組織内部の再構築が不可分なことがわかります。

体操協会の挑戦と、それがスポーツ団体にどんな影響を広げるのか。期待しています。

朝日新聞論説委員 西山良太郎