現場一期一会(ボランティア元年から30年)

ボランティア元年から30年

「行政からの支援が届いたのは2週間後でした」

東日本大震災の被災地で地域活動を担う住民団体の代表が、2011年の大津波を振り返りました。

東京・虎ノ門の日本消防協会で昨秋にあった、「地域総参加の防災力向上大会」の一幕です。各地の先進例が報告されました。

壇上の代表が訴えたのは、命を守るための自助・共助の大切さです。

今年は、ボランティア元年と呼ばれる1995年から30年です。阪神大震災では翌朝の朝日新聞投稿欄に「ボランティアの呼びかけをしてみてはどうだろう」との提案が載りました。

全国から集まる支援の輪が一気に広がりました。

その後の流れを分析したリポートが2022年、「ボランティア白書」に掲載されました。筆者は国際ボランティア学生協会理事の宮崎猛志さんです。改めて話を聞きました。

04年の中越地震や台風被害で支援を経験した人たちが、次の災害に備えて人材育成を始めました。東日本大震災では、支援の中身が建築や医療など専門的になっていったそうです。

一方、近年の課題は支援側の人手不足です。災害の広域化や多発、激甚化があります。能登半島地震でも問題になりました。

宮崎さんの提案は、住民団体代表が演壇から指摘した話と重なります。

まずは「自助と近助(近所の助け合い)」で、その後に外からの支援を受け入れる。関連死の防止は公助の役割が大きい――。

防災も支援も、まずは身の周りの助け合いから、が鍵のようです。

朝日新聞立川支局員 山浦 正敬