寝ても覚めてもすぽーっ!(ルールが変える野球の姿)

ルールが変える野球の姿

スポーツのルールは、大きく競技と運営の二つに分かれます。共通するのは、どちらも有り様を変える力があることでしょうか。

プロ野球なら3回目を実施した現役ドラフトもその一つです。過去2回の結果をみると、まずは成功といえそうです。

ソフトバンクから阪神入りした大竹耕太郎投手は、2年連続2けた勝利でローテーションの中軸に。ソフトバンクでは5年間一軍出場がなかった水谷瞬外野手が、移籍した日本ハムで交流戦MVPの活躍。DeNAでは6年間定位置が確保できなかった細川成也選手も中日では打線の中核に成長しました。

前の球団で歯がゆい思いを重ねた理由はさまざまでしょう。故障やコーチとの相性もあったかもしれません。同じポジションにスター選手がいれば押しのけるのは大変です。それが競争の世界の現実とはいえ、新たなきっかけがあれば覚醒する選手が数多くいることを、現役ドラフトは示したように思います。

3回目の今回は過去ドラフト1位でプロ入りした3人を含む13人が新しい球団に移ります。トレードやフリーエージェントなどの制度もありますが、中堅選手の移籍機会はもっと広がってもいいはずです。

競技では、先行する大リーグで投球を機械が自動判定するロボット審判の準備が着々と進みます。試合時間は、投球間隔を制限するピッチクロックの導入によって2年間で30分ほど短くなりました。

ルールの改変には功罪が伴いますが、変える勇気の大切さを実感します。

朝日新聞論説委員 西山良太郎