現場一期一会(婦人雑誌が提唱した「家計簿」が120年)

婦人雑誌が提唱した「家計簿」が120年

新しい年を迎えても値上げのニュースが続きます。家計のやりくりは厳しさを増すばかりです。

戦争やオイルショックなど歴史をひもとくと、物価高になると家計簿が注目されます。家庭の収支を見える化して、自己防衛するためのようです。
家計簿を考案したのは雑誌「家庭の友」の初代編集長です。1904年12月に創刊され、その後「婦人之の友」と改名された月刊誌は今に続きます。国内で最も歴史ある婦人雑誌で、今年で創刊122年です。

この間、雑誌の発行元が家計簿を発行しなかったのは戦中戦後の計4年だけです。戦後の混乱期には同誌の呼びかけで「家計簿をつけ通す同盟」が生まれました。

家計簿から見えるのは暮らしの変化です。同誌が読者を通じて定期調査した結果、戦後の家計で食費の占める割合が減り、住宅費や教育費が増えたそうです。

コロナ禍を経て物価高に直面する最近はどうか。同誌は昨年12月号で、家計簿120年を特集。物価高に負けない活用法を紹介しました。

創刊から描き続けるのは「生活や社会の未来」です。女性の社会進出は進み、今は共働きが主流です。もはや家計簿つけは女性の仕事ではありません。

約5年前にはクラウド家計簿のサービスが開始されました。オンラインで家庭内共有できる時代です。

同誌の初代編集長は女性新聞記者の草分けでした。歴史を刻み続ける婦人之友はどんな未来を描いていくのか。新聞も問われる課題です。

朝日新聞立川支局員 山浦 正敬