現場一期一会(心が少しざわめく新年度スタート)

心が少しざわめく新年度スタート

2025年度がスタートしました。この季節はいつも心が少しざわめきます。いつもと違うのです。

通勤で電車に乗ります。同じ駅で、同じ時刻に、同じ車両。乗り降りする扉も同じです。自分なりの通勤時のルーティン、つまり習慣なのです。

ですが、新年度になると、通勤途中で見かける顔が変わります。人の流れも電車の混雑も変化がみられます。
進学や就職、転勤の季節だからです。車や徒歩の通勤・通学でも同じような場面があるでしょう。

ルーティンは、ラグビー元日本代表の五郎丸歩さんがプレースキックを蹴る前に見せた独特の動きが有名でした。もう10年前の話です。当時、朝日新聞が取り上げた際、その効果について、「ストレスや不安が減った」と五郎丸さんは語っていました。

米・大リーグの大谷翔平選手も、活躍の秘訣(ひけつ)について「毎日同じルーティン」と表現しています。穏やかな姿勢で過ごした結果が、昨季の数々の偉業につながったそうです。

記者の取材では、相手の行動や考え方のルーティンを理解しておくのが重要です。いつもと何が違うのかが鍵だからです。相手の行動パターンから、いつ、どこで話を聞く機会を得られそうか、も探ります。

毎春に繰り返す私の小さな心の乱れですが、すぐに新しい状況に適合できています。進学や就職などで大きく生活環境を変えた人たちも早く、それぞれのルーティンを見つけ、穏やかな日々を過ごせるように願っています。

朝日新聞立川支局員 山浦 正敬