現場一期一会(コロナ禍で新社会人の五月病は?)

コロナ禍で新社会人の五月病は?

2年前の大型連休初日の朝日新聞投稿欄でした。

「五月病異聞」
 出社したい!
        ――新社員
    (横浜・昼あんどん)

コロナ禍で当時も「テレワーク」「在宅勤務」を求められていました。投稿者に限らず多くの新社会人が同じ状況で、朝日新聞社の新人記者たちも自宅でオンライン研修を受けました。

就職してしばらくすると張り詰めた緊張感が緩むのか、職場に行きたくないとなる新社会人が出てくるのが五月病のひとつです。それがコロナ禍で、出社するな、と真逆の環境に置かれたのを、「昼あんどん」さんが鋭く表現しました。

「五月病」について社内の記事データベースで検索すると、時代とともに若者の変化が見えてきます。

1960年前後は、受験戦争を経て進学した大学生の「後遺症」のような扱いです。70年代後半になると新社会人にも広がります。80年前後からは、この時期のスポーツ界の成績不振を示す表現にも使われます。そこに共通して見えてくるのは、理想と現実のギャップで悩む若い世代の姿です。

さて、今春の新社会人は学生時代、講義も多くがオンラインだった世代です。コロナ対応に社会が経験を積み、ワクチン接種も進んだこともあり、朝日新聞社では今春、オンラインではなく会議室での新人研修に戻りました。

オンラインとリアルが共存する世代の「五月病」とは……。もちろん、ウイルスも一緒に消えてなくなるのが理想です。

朝日新聞さいたま総局長 山浦 正敬